科学者によりタヒボの調査・研究が進行中です

 樹木は健康を支えるために様々な形で生活の中に取り入れられており、現在でも樹木が作り出す物質は私たちに健康や癒しを与えてくれます。現在でも、ブラジルではタヒボ(タベブイア・アベラネダエ)など多様な植物を住宅の周辺に植え、それらは食物、薬品、香料、染料など様々な用途に利用されます。
熱帯のように生物が多様な場所では、未知の物質が豊富に存在すると考えられており、医療、特に新薬開発の研究者は様々な植物を調査・研究し、新薬発見を目指しています。
タヒボジャパン社の研究陣は、ナフトキノン系の色素成分「NFD」の発見後も、タヒボに含まれる更なる未知の成分を発見すべく、調査・研究を進めます。

樹木には人間を癒す様々な力があると考えられます

 タヒボの樹皮、木質部は独特な特徴を持っており、先住民により飲用以外にも利用されてきました。熱帯雨林にはタヒボ以外の数多くの有用植物が存在しており、それらは現在でも人々により様々な用途で利用されます。
アマゾンに自生する樹木は地球全体への酸素の供給する力を持ち、この地域は地球の肺と呼ばれます。大都市ベレン市内の商店では、タヒボや、地元の森から取れる樹木を原料にした製品を目にすることが出来ます。人々は様々な樹木がそれぞれの力を持つことを知っており、樹皮、葉、芽、油、木質部、根、樹液など、利用する箇所、用途、方法は様々です。内部樹皮を煎じるタヒボ茶にも樹木が持つ力が入っていると言えます。

 その他の多く地域でも、昔から人々は地元の森林などの働きを研究し、利用してきました。
森林の中に入ると新鮮な空気を得られ、心身をリフレッシュしたり健康維持を図れます。木々の緑が目の疲れを癒したり、静寂により精神的な安定をもたらしてくれます。 山歩きをしたり、森林に入った際に、そのようなことを体験された方は多いと思います? なぜでしょうか?
樹木が放出するフィトンチッドという注目される物質があります。フィトンチッドは植物が傷ついた時、周辺にある他の生物を駆除するために放出する物質で、1930年頃、ソビエト連邦のB.Pトーキン博士によって初めて明らかにされます。名称は「植物」を意味する(フィトン)、「殺す」を意味する(チッド)という単語に由来します。1970年代になると西側社会にも知られるようになり、研究が進みます。そしてフィトンチッドは、必ずしも植物が傷を受けなくとも放出され、生態系の保持や、人間に対しては、心身ともに健康を増進させる効果があるが認識されるようになります。これまで二万種以上の高等植物について抗微生物性が知られ、1967年頃までに128科に属する897種の高等植物がフィトンチッドによる殺虫作用をもつことが解明されました。フィトンチッドの成分は数種のテルペン類のほかにはよくわかってはいません。しかし他種類の科学物質が含まれると考えられます。 生物の生存競争の激しい場所に生きるタヒボの樹も昔から虫も寄せ付けないといわれ、何らかの化学物質の放出が考えられます。
ドイツの人々は健康に有用であることを知り、森の中を歩くのを楽しみます。フィトンチッドの作用は医学的にも注目され、森林浴をホリスティックに活用する試みが各地で行われます。ドイツの森には1960年までに22500キロメートルに達するハイキングコースがつくられ、黒森地帯(シュバルツバルト)の「一日森林療法」ツアーは人気で、参加者は森林で朝から夕方まで一日を過ごしその日のうちに帰宅します。

樹木の香り

 良い香りは精神を安定させたり、気分を高揚させたりします。そのため古くから宗教や医学と深く結びつき、多くの地域で香料の文化が発展し、現在も存在します。現代、アロマテラピーとして快い香りが精神的にストレスや不安を解消する作用は化学的に実証済みです。たとえば、皮膚の温度の変化をサーモグラフィーで観察すると、香気を嗅ぐと皮膚温の上昇がみられたり、脳波を調べるとアルファー波のほとんどに周波数帯域でパワーの増加がみられ、とくに9.5〜11.5ヘルツの帯域で著しいので、適度な安静状態であることを示します。つまり香料は交感神経の緊張を弱め、自立神経のバランスを保つ作用があるのです。 ちなみにタヒボ茶(特に温かいもの)を飲まれる時に感じるほのかな匂いも大変に落ち着く香りです。

香木

 日本最古の香木に関する記録は日本書紀に「553年に香木が漂着し、これを仏像に彫らせた」という内容が述べられた部分があります。奈良の正倉院には東大寺の三文字をかくし字とした「蘭奢待」(らんじゃたい 正式名称:黄熟香)という名香木があり、また最近法隆寺宝物館で見つかった二片の香木には7、8世紀の中期ペルシャ語のパフラビー文字と中央アジアのソグド文字が刻されていることから、香木はシルクロードを通ってもたらされた財宝の一つであったことがわかります。正倉院御物のなかには香木で作った器物もいくつかあります。代表的な香木である沈香樹は中国西南部と海南島、ベトナム、タイ、マレーシア、インドのアッサムと東ベンガル、インド南部やスリランカなど熱帯の山奥に育成するジンチョウゲ科アクイラリア属、他数種の常緑喬木の総称で、それら樹木は病気や害虫によって木部にダメージを受けた時、対策として樹脂を分泌、蓄積します。自然倒木や伐採した後、それらの樹木を土中に埋めたり、放置して木部を腐朽し去ると樹脂が凝集した部分が残ります。それでも香りがある物は希で大変に希少価値の高い物となります。

乳香

 乳香はアラビア南部のドーファル地方と、東アフリカのソマリーランド北部に育成するボスウェリア属の木に傷を付け、にじみ出す樹液を固めた芳香ゴム樹脂です。一方、没薬(もつやく)はアラビア西南部のアデンとモカの奥地山岳地帯やソマリーランド北部に育成するバルサモデントロン・ミルルハを主とする芳香ゴム樹脂樹から採取します。没薬はヒポクラテスの文献のなかでもっとも頻繁に言及され、それは文字通り医薬品でした。現代のロンドンで行なわれた実験で、近似種において抗菌作用があり、炎症を抑え、喘息や肺炎の不快感を和らげることが解明されます。イタリアで進められた研究で、痛みを取り除く働きも見つかり、インドでも、ミルラときわめて近縁の種に、血中コレステロール値を下げ、心臓疾息や動脈硬化を防ぐ働きのあることが明らかになっております。1970年代の初めに行われた実験で「傷口によく見られるブドウ球菌を殺す」この乳香の有効性が確認され、ミルルハと近い木の樹脂である乳香も、同様の特徴があることがわかりました。
またエジプトでは防臭、防腐作用があるため、ミイラを作る際に大量に使用されます。古代エジプトの自らをファラオであると宣言した権力者「ハトシェプスト女王」は商圏の拡大を考え、紀元前1495年に現在のソマリアにあたる「プトン」の国に遠征隊を派遣。女王が、遠征隊に戦利品として持ち帰らせた金、象牙、黒檀、動物など数々の品々の中で、もっとも貴重なのがこの珍しい木の樹脂でした。没薬が古代社会であんなにも珍重されたのは、バクテリアを殺す抗生物質として利用されたからであろうと考えられます。

自然界での樹木の利用

 動物や昆虫は自然界にあるありとあらゆるもの含まれる、或いは作られる化学物質を利用し、心身を正常な状態に保ちます。化学物質の利用自体は人間が行う行為と大きな違いはありません。現在、人間が利用する植物は自然界で昆虫や動物がその働きを教えてくれたことである場合が多く、それらの中にはアマゾンの先住民が昔から飲用してきたタヒボ茶のように樹木の成分を利用したものもみられます。

プロポリスを作るミツバチ

 現在、世界中でプロポリスは人気のある健康食品の一つですが、これはミツバチが樹木の性質を巧みに利用しつくりあげた物質です。ミツバチは感染症と闘うために樹木を利用する樹木は傷つきやすい芽を病原体から守るために樹脂を生産するがハチはそれをあつめてプロポリスを作りそれで巣の内側の全体を覆って自然界随一の無菌環境を作り上げる。菌の侵入を防ぐだけでなくプロポリスは巣を構造的に支える役目も果たします。ミツバチは色々な種類の樹脂を利用するので、プロポリスの化学成分も様々ですが、普通何百種類ものポリフェノールを含んでいて、異物が巣の中には入ったりすると、プロポリスで防腐処理を施し、密封して有害な微生物から巣を守るのです。

爪を清潔に保つジャガー

 南米ブラジル、マットグロッソの北部の沼地で、ジャガーはモルセゲイラという硬木を利用して爪を研ぎます。この樹木の樹皮には殺菌作用のあるアルカロイド「ベルベリン」が含まれ、それにより爪を清潔に保ちます。中米パナマではハナジロハナウマがカンラン科の樹木(メントールや樟脳のような匂いのする樹脂を分泌する)の樹脂を毛皮にすりこむ行動を見られます。これは皮膚につく害虫を減らしたり、それを除去するためだと考えられます。この樹脂はメキシコでは虫避けとして使われます。この樹脂の中にはトリテルペン、アミリン、セリネン、セスキテルペン、ラクトンが含まれ、セスキテルペン、ラクトンは蚊などに対する虫避けになることが知られます。

寄生虫を駆除するチンパンジー

 動物が利用する植物のなかには、人間にも使える物質を含むものもある。熱帯の森林で数多く見られるイチジクの木は、そこに生きる哺乳類や鳥類の大切な食料となります。しかし、チンパンジーはこれを食べ物としてだけでなく、薬として利用します。 ブラジル西部では、寄生虫が原因の感染症の治療に、イチジクの一種の樹液がとてもよく効くといわれ、商品として売られる製品もあります。 アフリカ、タンザニアのチンパンジーがイチジクの葉を食べることが知られますが、チンパンジーにもっとも多い寄生虫の線虫を殺す酵素が含まれるからだと考えられます。チンパンジーが食べるのは若い葉で、これには古いイチジクの葉より6倍も多くの抗寄生虫物質が含まれます。